TEAM MARUの挑戦 2022 目標は世界のトップ10入り! アラフィフパイロット「丸山 毅」がグライダー世界選手権に再び挑戦します

丸山のキャリアとTEAM MARU

みなさんこんにちは。私たちは TEAM MARU(チームマル)と申します。グライダー世界選手権に参戦するパイロット 丸山 毅(まるやまたけし)をサポートするために2013年から活動しているチームです。

丸山 毅 は グライダー歴28年、総飛行時間約3,700時間、総クロスカントリー距離15万km のベテランです。サラリーマン生活を続ける傍ら日本代表として活躍し、グライダー日本滑空協会の理事、国際滑空委員会の日本副代表委員などを務め、所属する日本グライダークラブでも理事やチーフインストラクターといった役職に就き、パラレルキャリアで活躍中の51歳です。

グライダー世界選手権への出場は1999年の第26回ドイツ大会から。その後2008年の第30回ドイツ大会、2014年の第33回ポーランド大会、2018年第35回チェコ大会に出場、27位という最高成績を残しています。また、ヨーロッパ選手権にも2度出場し、最高位は19位相当。そのほかポーランド、ハンガリー、チェコ共和国、ドイツといった国々のナショナル大会・地方大会にも出場し、最高で7位を獲得しています。

チームのメンバーは9名。大会中地上でサポートを行うグランドクルーを中心に、ボランティアで集まった集団です。チームビジョン(野望)は「グライダーをもっと多くの人に知ってもらい、楽しんでもらいたい!」ということ。チームとして「勝利」「普及」「育成」というトリプルミッションを掲げ、具体的には以下のような目標を持って活動しています。

・「勝利」 世界のトップ10入り

・「普及」 グライダー認知アップ!

・「育成」 若手を世界へ!

グライディングのガラパゴス化から脱却したい!

日本ではグライダーはまだまだマイナーなスポーツです。丸山の後に続いて世界へ打って出ようとする若者が現れません。海外との交流も限られ、世界の現場で日々進化を続けているフライトメソッドや新しい操縦教育方法が積極的に導入されることもありません。全日本クラスの競技会すら行われなくなって久しく、最前線で切磋琢磨されるべき「スポーツ」としての技術的アップデートが行われていません。有り体に言えば「ガラパゴス化」が進んでいるのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

丸山はこの状況に警鐘を鳴らしています。

インターネットの登場で世界との距離は縮まっているはずなのに、ことソアリング技術の「学び」という観点から見ると、日本と世界の精神的な距離はむしろ増えているように感じます。もちろん、新しいものを取り入れようとすれば古い理論や価値観を変えなければならず、その作業にはかなりの覚悟と労力を必要とします。実際のところ、新しい知見や「学び」を外に求めないほうが楽に過ごすことができるのです。

でも世界は待っていてはくれません。ヨーロッパでは新しいフライトメソッドがどんどん標準化されていますし、教育方法も変わってきています。私たちがこのまま日本という島国の中だけで完結してしまっていては、世界との距離が広がっていることにすら気付けなくなってしまうでしょう。

ブーカの空と今求められるスキル

世界は VUCA(ブーカ)の時代になった、と言われて久しいです。これはVolatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から作られた言葉ですが、現在の社会や経済環境が予測困難な状況に直面しているという時代認識を表した用語として知られています。

このブーカの時代にあって、今本当に求められているのは「前例にとらわれ考えることを放棄すること」ではなく、「前例のないところで考える力だ」と言われています。何をするにも「自分で考えること」が大切になっているのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

丸山は「グライダーパイロットに求められるスキルは、まさにこのブーカの空を飛ぶ能力にある」と言い切ります。空には一度として同じ状況などなく、飛び方の 「答え」も毎回違ってきます。目の前で変化する状況に対処し続け、その中で最善の道を選び、前へ前へと進まねばなりません。

もちろん、「場周」や「曳航」など、グライダーのライセンスを取るまでの訓練にはちゃんと答え(型)が用意されています。でもそこから先、より高く、より遠くへ飛び、より楽しいクロスカントリーフライトを行おうと思ったら、自分の頭で考え、判断することが大切になります。その際、人に答えを求めてばかりいては上達は難しくなります。そして、その先にある「世界レベルの競技会で競い合う」というスキルに関して言えば、日本ではもはや限られた人しか持ち合わせていない、というのが現状です。

なぜ世界大会へ参加するのか?

グライダーは競技会が全て、ではありません。でも、同条件下でライバルと切磋琢磨する中で得られる 「気づき」 はグライダースポーツの発展に計り知れない恩恵をもたらします。ほかの人より1秒でも早いスピードを競う現場では、変わり行く天候への予測能力はもちろん、上昇気流の取捨選択からコース取り、クルーズスピードに到るまで全ての判断を瞬時に、そして最適にコントロールしていく必要があります。次々に変化する予測不可能な世界の中で、今できることに集中し、ありとあらゆる知見と情報を総動員して飛ばなければならないのです。そしてさらに、フィジカルな鍛錬から「前へ進む」意志力までもが強く要求されます。それは、究極に効率化されたクロスカントリーフライトと言っていいのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

複雑で、曖昧で、常に変化する不確実な空を自分の判断で飛ぶチカラ。その能力レベルを他人と比較する中で順位としてわかりやすく教えてくれる場、それが競技会なのです。

そこで得られる最新の知見や、そこで飛ぶために行った対策や練習方法、そして海外遠征の方法そのものや各国のパイロットと交流する中で得られた情報などを、自らがその中に身を置くことで学んで行きたい。そして日本の空を飛ぶ若者のためにフィードバックしていきたい。フィードバックすることで日本のグライディングの飛び方、飛ぶ事への考え方を世界にあわせていけるように、操縦教育にイノベーションを起こしたい!と丸山は考えています。

操縦教育にイノベーションを起こしたい!

丸山は2009年からは若いグライダーパイロットへのコーチングを目的とした「Soarist ユースキャンプ」の開催に協力しています。

この「ユースキャンプ」の取り組みはとてもユニークです。期間中はひとりひとりの若者がそれぞれ1機のグライダーを占有することができ、何度でも何時間でも飛ぶことができます。気象条件を調べ変わり行く空の条件を肌で感じながら自分の判断で空へ飛び、クロスカントリーフライトしてくるのです。

ここでは何よりもまず 「自分で考えること」が優先されます。学生航空部の団体合宿生活では望んでも得られない条件の中で個々の可能性を引きだそうとしているのです。このユースキャンプはその後も継続的に続けられています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さらに、今回の世界戦への参戦に際し、現地のグランドクルーとして2名の有志にご協力を依頼しました。吉岡利典さん(日本グライダークラブ・47歳)と 市岡拓也さん(東京グライダークラブ・29歳)です。

吉岡利典さんは先述した「Soarist」を妻の吉岡名保恵さんとともに創設された中心的人物です。若手パイロット育成の方法論を日夜語り合い、丸山と夢を共有しながらアクティブに活動されている、尊敬すべき仲間のひとりです。

市岡拓也さんとはこの「Soarist」の活動を通じて出会いました。ヒントを与えるとわからないことをすぐ調べ、学んで吸収し、自分なりの判断をし、実際に行動に移すことができる希有な若者です。丸山はその姿に「ブーカの空」を自らの力で飛び続ける可能性を感じ、前回に続いて今回の大会にもクルー支援をお願いしました。

これらチームメイトが、世界トップのアスリートがひしめく現場を目の当たりにするインパクトは計り知れません。この経験によって彼ら自身の中で化学反応が起こり、今後の活動にさらなるエッセンスが加わっていくことを願ってやみません。

世界選手権に向けた準備状況

前回2018年の世界選手権後、さらなる飛躍を目指して、2019年からは新世代競技機 JS3 への乗り換え、海外での競技会への参加と練習を重ねてきました。

2020年シーズンはコロナ禍で世界選手権も中止となり、海外での練習も出来ずじまいでしたが、ワクチン接種の進んだ2021年シーズンは8月にポーランドの大会で練習を行い、その後ナミビアで世界チャンピオンと合宿トレーニングを行って弱点を補強しました。

そして2022年シーズンは板倉滑空場での練習の後、4月にハンガリーの競技会に参加、5月にはチェコ選手権に出場し、トレーニングを行って参りました。

グライダー世界選手権とは?

ここで、グライダー世界選手権とはどんな大会なのか、どのくらいの国とパイロットが集まって何を競うのか、簡単にご説明いたしましょう。

第37回グライダー世界選手権大会について

■大会ホームページ: https://wgc2022.hu/

■開催場所: ハンガリー セゲド飛行場 首都ブダペストから南に160km、車で2時間程度

■大会期間: 7月23日 〜 8月6日(15日間)

■参加国数: 27か国

■参加人数: 88機 108人

■開催クラス: オープンクラス、20mクラス、18mクラス

■参加クラス、使用グライダー: 18m クラス、JS3 D-KSTM “AX”

 

TEAM MARU 世界選手権現地チーム体制

■遠征期間: 7月15日 〜 8月9日(26日間)

7/15     日本出発
7/18 – 7/22  練習期間
7/23     開会式
7/24 – 8/05  競技期間
8/06     閉会式
8/09     日本帰国

■遠征人数: 6名

チームリーダー  赤石 京子
パイロット    丸山 毅  日本グライダークラブ、Soarist
クルー      市岡 拓也 東京グライダークラブ
クルー      吉岡 利典 日本グライダークラブ、Soarist
クルー      高見 道明 TEAM MARU
広報クルー    河村 大  TEAM MARU

■必要経費: 合計  ¥4,100,000

科目 金額 備考(1Euro=140円)
往復航空券 ¥1,350,000 6名、空港往復、移動宿泊
滞在費 ¥400,000 レンタルハウス2部屋
グライダーレンタル ¥880,000 21日
曳航料 ¥150,000 15曳航
エントリー費用 ¥150,000
レンタカー ¥300,000 2台
食費 ¥200,000 自炊
その他機材 ¥670,000 ソフトウエア、無線機、チームキャビン、チームウエア
チームキャプテン費用 ¥0 チームキャプテン個人負担
合計 ¥4,100,000

1回の遠征でかなりの費用がかかることがお分かりいただけると思います。

実は日本代表といっても国からの支援があるわけではなく、実際に費用を捻出しているのはパイロットの丸山です。現地への慣熟やトレーニングも含め、遠征費用が大きな負担になっているのも事実なのです。

「ワクワクすること」が大切

とはいえ、本人はこれらの費用を義務感で捻出しているわけではありません。やはり、世界選手権に出場すること自体が楽しいのだそうです。想像するだけで心が躍り「この年齢でこれだけワクワクできることは他にない」からこそ出場しています。

では、なぜワクワクするのか?

それはズバリ 「無知の知」 を知ることにあると言います。

「今まで見えなかったものが見える!」

「できなかったことができるようになる!」

人生においてこれほど楽しいことはなく、体力が続く限りチャレンジしていきたい! と彼は言います。

彼自身は、決して生まれ持ってのアスリート、というわけではありません。学生時代の上達は 「並み」 より遅かったですし、緊張しやすいです。そして 「迷い」や「恐れ」、「逡巡」や「後悔」といった誰もが普通に持っている感情と日々戦っています。そして何よりも彼自身、自分の頭が固く、前例にとらわれやすく、チャレンジすること自体が苦手であること自覚しています。

でもだからこそ競技会に集中し、素の自分をさらすことで、今の自分を知り、未来の自分を高める作業にワクワクするのだ、といいます。そしてこの楽しさを、日本の若手にぜひ味わって欲しい! できることならサポートしてあげたい! と彼は願っています。

実のところ、世界選手権のことなど何も知らなかった丸山が欧州へ何度も遠征する中で得てきた知見、そして築き上げてきたコネクションは膨大です。その経験と資産を、彼は後に続く日本のグライダーパイロットに残そうとしています。

実務的な遠征の方法も継承したい

例えば機体の貸し借りひとつとっても、それはお金を積めばいい、という話ではないといいます。ヨーロッパはやはりファミリーの文化で、大切な趣味の道具をどこの誰とも分からない東洋人においそれとは貸してくれません。でも幾度ものヨーロッパ遠征を経て、彼自身が積み上げてきた認知度と信用によって、今では「丸山ならいいよ、貸してあげる」というパイロットが多く見られるようになってきています。それはこの先、国内の若手パイロットが遠征する際の道筋にもなり得るでしょう。「丸山の紹介ならいいよ!」とすんなり借りられる可能性も高いのです。

こういった海外遠征の経験や現地事情、そして文化すらも若手に継承していって欲しい、と願っています。

いかがだったでしょうか。今回は広く皆様からのご寄付を募り、世界選手権へ費用の一部として使用させていただくことにいたしましたが、私達 TEAM MARU は「勝利」「普及」「育成」という3つの目標に対し、これまで通り変わらぬスタンスで取り組み、チーム一丸となって世界選手権に参戦して参ります。大会期間中はホームページやSNSを通じて現地の情報を可能な限り迅速にお伝えする予定です。そしてより多くの方々にこの大会の魅力をお届けして参りたいと考えております。

チームにとって何よりも嬉しいことは、皆様からいただく応援メッセージの数々です。パイロットの丸山も、時間差こそあれ、全てに目を通し、必要あればご返信させていただいております。チーム一丸となって戦って参りますので、どうかご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願い申しあげます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

■TEAM MARU ホームページ
http://maru-wgc.blogspot.jp/

■TEAM MARU フェイスブック
https://www.facebook.com/TeamMaru

■TEAM MARU ツイッター

https://twitter.com/teammarugliding

■TEAM MARU Instagram

https://www.instagram.com/teammarugliding/

■パラレルジャーナル様「やりたいことがあれば挑戦すべき!―世界大会出場のサラリーマン・グライダーパイロットが実践する仕事と夢の両立」 (パイロットインタビュー記事)

https://crowdworks.jp/p-journal/?p=1421

寄付への御礼のご案内

■5,000円の寄付

・パイロット丸山からの御礼メール
・大会期間中の限定メールマガジン配布

■10,000円の寄付

・パイロット丸山からの御礼状
・大会期間中の限定メールマガジン配布
・TEAM MARU オリジナルステッカー 2022バージョン
・秋に開催予定の報告会へのご招待

■30,000円の寄付

・パイロット丸山からの御礼状
・大会期間中の限定メールマガジン配布
・TEAM MARU オリジナルステッカー 2022バージョン
・秋に開催予定の報告会へのご招待
・大会現地で入手可能なオリジナルグッズ(Tシャツ等)
※現地状況により変更の可能性もございます

■任意の額の寄付も受けつけております。

・別途ご相談ください

丸山さんの活動にご賛同戴ける皆様は下記フォームからお申し込みの上、
2022年第37回グライダー世界選手権参加支援事業募集特定寄付金申込フォーム
リンク先             https://bit.ly/wgc2022maruyama

下記口座宛にお振り込み戴けますと幸いです。
振込先
みずほ銀行 新橋支店(普)1027085
(社)日本グライダークラブ

当クラブは公益法人の税額控除対象法人の認定を受けており、ご寄付には税の減免処置が適用されます。
具体的には( 寄付金額※1 - 2,000円 ) の 40% が 税額控除額※2となります。
※1 算出時の年間の寄付金額 は「同年の総所得金額等の40%」を限度額とする。
※2 税額控除額は「その年の所得税額の25%」を限度額とする。

皆様の寄付をお待ちしています!

グライダー曲技飛行世界選手権参戦 世界一への挑戦 酒井 隆

エンジンの無い航空機「グライダー」で曲技飛行の技を競う「空のフィギュアスケート」

 

・~・~・プロフィール・~・~・
酒井 隆 Takashi Sakai

1975年 2月    神奈川県厚木市で誕生
1992年12月   17歳で自家用操縦士技能証明取得
1995年 9月    21歳で事業用操縦士技能証明取得
事業用操縦士の資格を取得後、航空機使用事業会社で勤務
退職後 飛行クラブのセーフティパイロットとして運航補助に就く
飛行クラブ解散後は週末にグライダーを楽しみ、グライダーを空に連れて行く曳航機のパイロットとして飛んでいます。

今の仕事は
自動車メーカーで新車エンジンの原価管理業務に就いています。設計された部品の原価の見積りを作って、エンジン1台分の原価を管理するお仕事です。

空を飛ぶこと以外の週末の過ごし方は
・1990年代の古いBMWのレストアをDIYで行い
・古い自宅を修理改造し
・「燻製作り」などの料理を嗜んでいます。
・「何事にも挑戦して自己追求していく事を」をコンセプトとした個人ブログを運営中
「狼の皮を被った羊」 すこしずつ挑戦しよう

私は「空を飛ぶ事を追求する」生き方を選びました
高校生で飛行機とグライダーのライセンスを取得し、一時期はプロとして小型飛行機(セスナ)のパイロットとしてスカイダイビング等のフライトを実施していました。プロとして飛ぶ事が無くなった今でも週末にグライダーで空を楽しんでいます 。

最初に「グライダー」とは?
馴染みのない乗り物ですが、飛行機やヘリコプターの仲間で立派な「航空機」です。
グライダーの特徴はウイングスパン(翼の幅)14~25mの細長い翼を持つ1~2人乗りの機体でエンジンを搭載していません。
もちろんエンジンが無いので自力では離陸出来ないので、飛行機にロープで繋いで曳航(牽引)して上空600~1200m程に昇ります。十分な高度に到達したらロープを切り離して滑空で飛行する航空機です。滑空だけでは紙飛行機の様に高度を失い着陸になりますが、トンビやカモメの様に上昇気流を捕えて高度を回復して飛び続ける事が出来ます。この飛行方法(ソアリング)からグライダーは「空のヨット」とも呼ばれています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

熟練グライダーパイロットが操る高性能グライダーの飛翔能力は驚異的で、一日に14時間以上飛び続け 1,000km以上翔破できます。
このグライダーに乗って、300~500kmのコースで平均速度を競うレースと、飛行距離、獲得高度を探求する記録飛行があり「より高く・より速く・より遠くへ」をもっともシンプルな航空機で挑戦するスポーツです。

グライダー競技曲技飛行を始めた経緯
滑空場で毎週末グライダーに乗りソアリングを楽しんでいたところ、2010年に曲技飛行世界選手権に出場していた現役選手に誘われ35歳の夏から「世界一のグライダー曲技飛行操縦士」を目指す挑戦が始まりました。

「グライダー曲技飛行」とは?
飛行場上空に設定された一辺1000 mの正方形の空域内でグライダーのよる曲技飛行を行い、「飛行の正確性」を競う競技です。カタログにより定義されたループやロール等のフィギュア(科目)を10~13個ほど組み合わせた「曲技飛行シーケンス」を飛行し 地上の5~9組のジャッジにより採点され順位を競います。氷上で競われるフィギュアスケートに似た競技です。

曲技飛行 ボックス

 

曲技飛行シーケンス

挑戦が始まって、、
グライダー曲技飛行チーム「Red Fox」に所属し群馬県にある日本グライダークラブ板倉滑空場で機種転換トレーニングから開始しました。使用する機体は曲技飛行を行うために強化された曲技飛行専用機で、最大g(重力加速度)は +9g -7gに耐えられ、最大速度も290km/hが可能です

 

エアショーでの展示飛行

日本国内でグライダー曲技飛行の基礎を学んだ後に、2012年の夏にポーランドへ渡り、世界選手権を7回制覇したポーランド人パイロット「イージー・マクラ氏」を師として飛行技術を学び、最初の世界選手権までに150回を超えるトレーニングを重ねて 安全に競技を飛べる技量を得て、競技パイロットとしてのスタートし、今日まで以下の戦跡を残しております。

開催年月 競技会名称 開催地 競技クラス 競技機型式 順位/競技者数、

得点率

2021/6 Glider Aerobatic Polish Championship ポーランド

レシュノ

Unlimited Swift-S1 6/7

61.816%

2019/8 10th FAI World Advanced Glider Aerobatic Championship ルーマニア

デヴァ

Advanced Swift-S1 17/31

64.747%

2018/8 9th FAI World Advanced Glider Aerobatic Championship チェコ

ヅブラスラヴィツェ

Advanced Solo-FOX   34/35

47.493%

2018/6 Glider Aerobatic Polish Championship ポーランド

トルン

Unlimited Solo-FOX   4/4

62.910%

2016/8 7th FAI World Advanced Glider Aerobatic Championship ハンガリー

マトコ

Advanced Solo-FOX   21/39

68.409%

2016/7 Glider Aerobatic Polish Championship ポーランド

ヴロツワフ

Unlimited Solo-FOX   2 /3

59.053%

2015/8 6th FAI World Advanced Glider Aerobatic Championship チェコ

ヅブラスラヴィツェ

Advanced Solo-FOX   22/47

66.57%

2015/7 Glider Aerobatic Polish Championship ポーランド

トルン

Advanced Solo-FOX   4 /18

73.727%

2014/7 5th FAI World Advanced Glider Aerobatic Championship ポーランド

トルン

Advanced Solo-FOX   24/36

47.188%

2014/7 Glider Aerobatic Polish Championship ポーランド

トルン

Advanced Solo-FOX   5/17

73.366%

2013/7 4th FAI World Advanced Glider Aerobatic Championship フィンランド

オリパ

Advanced Solo-FOX   29/40

63.956%

2013/6 Glider Aerobatic Polish Championship ポーランド

チェンストホヴァ

Advanced MDM-1 -FOX   3/17

76.196%

2012/7 Glider Aerobatic Polish Championship ポーランド

イレニヤグラ

Advanced MDM-1 -FOX   7/7

%

競技に向けて離陸準備中

 

2位入賞での表彰台

 

世界選手権 表彰式

現在の活動
2010年から始めたグライダー競技曲技飛行は今年で12年目となりました。2020年度は新型コロナウイルスの影響により海外遠征を断念し1年の休止になりましたが、2021年は技量低下を危惧して遠征を行い、ポーランド選手権に参戦して競技活動を再開しました。

今後も世界選手権での優勝を目指し活動を続けてまいります。

毎年6~8月の競技シーズンに欧州でトレーニングキャンプを実施し 60~80回ほどの練習を行い、ポーランド国内選手権及び世界選手権に参戦しております。(100回以上練習できるのが理想的です)
今日まで900回の曲技飛行を経験し2016年より最上級クラスのUnlimitedへの挑戦を続けております

毎年の活動費用
毎年、夏の競技シーズンに入ると欧州に渡り、選手権前の集中トレーニングを行います。宿泊費は飛行場の宿舎などを利用して費用を抑えております。ほぼ費用の半額が練習費用と機体レンタル料です。

往復航空券(成田~ワルシャワ) ¥ 200,000
現地滞在費(35日 x40EUR) ¥ 196,000
グライダーレンタル費用(3000EUR 1シーズン) ¥ 420,000
トレーニング時曳航費用 (60フライト x50EUR) ¥ 420,000
世界選手権エントリー費用(850EUR) ¥ 119,000
世界選手権曳航費用(12フライト x55EUR) ¥ 92,400
現地食費(15EUR x30日) ¥ 63,000
合計 ¥ 1,510,400

(140JPY/EUR)

2022年の遠征予定
トレーニングキャンプ(ポーランド)     7月31日~8月15日
世界選手権大会(フランス)         8月17日~8月27日

本年度の予定は、運良く会社の夏期休暇と重なり、約1ヶ月の予定が組めそうです。

EASAテンポラリーライセンスでのフライトは年間28日に限定されているので、少し速めにポーランドへ移動してEASAグライダーライセンスの取得を計画しています。

EASAグライダーライセンスの挑戦の後にポーランドチームと合同の2週間のトレーニングキャンプを行い、技量回復と科目飛行精度を向上させて世界選手権に挑みます。

ポーランドからグライダーアクロ世界選手権開催地のフランス イスダンへの移動は1,700km、グライダートレーラーを曳いて陸送で片道2日の旅になります

今後の展望
私自身の目標は「世界一のグライダー曲技飛行士」です。良き師に恵まれ、チームメイトとも言えるポーランドナショナルチームと共に飛行技術を磨き、世界選手権の表彰台の頂点を目指します。

個人的な目標の他に「日本のグライダー界に貢献したい」と考えていることは「次世代の若いパイロットへ日本のグライダー競技曲技飛行のバトンを繋ぐ事」です。

海外ではグライダーはスポーツの一つとして広く認識されていて、フライトを楽しむだけではなく、地上での機体の組み立て、分解、清掃、機体運搬など運航の全てを共同作業で行うため、多くの仲間に出会い競技を通じて真剣に向き合うことで、お互いを理解し国を超えた友人を得ることが出来ます。

私自身、グライダー競技曲技飛行に取組む事により多くの新たな友人と出会い人生が一変しました。

競技を通じ素晴らしい経験を得ることが出来るこの競技曲技飛行への道を次世代に繋がなければならないと考えております。

曲技飛行の師 イージー・マクラ氏と共に
親友であるポーランドナショナルチーム

直面している課題
グライダー競技に限らず日本のマイナースポーツに対する理解度は低く、国際大会に出場する選手ですら会社の理解を得ることが難しいのが現状です。この事により「海外遠征及び競技参戦」に必要な休暇と資金調達に行き詰まり競技継続を断念せざるを得ない選手も散見いたします。

先日、契約社員から正社員となり経済状況は僅かながら改善されましたが、休暇取得に関しての条件が難しくなり、長期の海外遠征により有給休暇を使いきり欠勤扱いとなると業務成績査定への影響が大きくなる、といったジレンマに直面しております。

このようなマイナー競技共通の理由から、次世代競技パイロットの発掘育成は難しい状況であり、日本ではオリンピック競技以外のマイナー競技に対する補助制度が皆無に近く、この資金調達面だけの問題だけでも学生パイロットの挑戦が難しい状況です。

ヨーロッパ諸国では企業や国からの支援により、多くの若いパイロットにチャンスが与えられ、フィンランドで開催された世界選手権では英国から15歳の競技者が参戦していました。

また、交流のあるポーランドチームにおいては毎年数名の競技者候補が現れる羨ましい状況です。

この背景にはナショナルチームの世界選手権遠征に関しての費用は国からの手厚い支援があり、ナショナルチーム選手の機体使用料金及び曳航料金はナショナルチームが支援することで、選手は負担無く世界選手権に参加できています。

このような現状で衰退が進むと日本のグライダー競技曲技飛行が途絶えてしまうことになります。これだけは避けなければならない事だと危惧しております。

所属する「公益社団法人 日本グライダークラブ」様にもご尽力頂き、共に頂点を目指しております。
日本グライダークラブホームページ 空を遊ぼう / Enjoy the Sky !
http://www.glider.jp/

今後の競技活動をより高いレベルで戦うため、そして次世代の若手パイロット育成の為にご理解ご支援いただければ嬉しく思います。よろしくお願いいたします。

 

第24回グライダーアクロ世界選手権について

■大会ホームページ: https://www.wgac2022.net/

■開催場所: フランス イスダン飛行場

首都パリから南に200km、車で3時間程度

■開催期間: 8月17日 〜 8月28日(11日間)

8/17     公式練習、開会式
8/18 – 8/26  競技期間
8/27     閉会式

■参加国数: 9か国

■参加人数: 34人

■開催クラス: アンリミテッドクラス、アドバンスクラス

■参加クラス: アンリミテッドクラス

■遠征期間: 7月31日 〜 9月1日(33日間)

寄付のお願い

酒井さんの活動にご賛同戴ける皆様は下記からお申し込みの上、
2022年第24回グライダーアクロ世界選手権参加支援事業募集特定寄付金申込フォーム
リンク先             https://bit.ly/wgac2022sakai

下記口座宛にお振り込み戴けますと幸いです。
振込先
みずほ銀行 新橋支店(普)1027085
(社)日本グライダークラブ

当クラブは公益法人の税額控除対象法人の認定を受けており、ご寄付には税の減免処置が適用されます。
具体的には
( 寄付金額※1 - 2,000円 ) の 40% が 税額控除額となります。※2
※1 寄付金額は総所得金額等の合計額の40%が限度になります
※2 税額控除額は所得税額の25%が限度になります。

皆様の寄付をお待ちしております!

以上

通常運航再開について(2021年10月)

2021年 10月 1日
2021年 11月 20日 改訂

通常運航再開について(2021年10月)

公益社団法人日本グライダークラブ

新型コロナ緊急事態宣言の期間中は、当クラブも会員及び関係者限定で、種々の感染対策のもと慎重に運航を実施してきました。その間、会員以外の皆様には来場をご遠慮いただき大変ご迷惑をおかけしました。今般、9月30日の「緊急事態宣言等の全面解除」を受けて、体験搭乗をはじめ会員以外の皆様の来場も再開いたします。(三密防止のため、1日当たりの参加人数を調整(原則2名程度)とさせていただきます)

しかしながら、コロナウイルス感染のリスクは依然として有ることから、会員、会員外を問わず来場者全員に以下の感染対策を励行していただきたくお願い申し上げます。

また、板倉滑空場での活動参加にあたっては、感染させない感染しない重症化させない重症化しない、ために新型コロナワクチン接種を推奨いたします。

【感染対策】

  • マスクの着用体温測定3密(密閉、密集、密接)の回避飲食時の会話自粛など。
  • 当日朝の体温を測定し、来場時に「板倉活動記録」の備考欄に記入する。(会員対象)
  • 会員外の方は来場前に体温測定し、所定の確認票に連絡先とともに記入をお願いします。
    (確認票のチェック内容によっては、来場をお断りする場合があります。)
  • 参加者は可能な限りフィジカルディスタンス(2m)を保つこと。
    ・飛行後のデブリーフィングは撤収前に屋外(ピスト)で実施。
    ・サロンでの作業は最小限(最大16名程度)とし、換気に努めること。
    ・教室の利用も最小限(最大8名程度)とし、換気に努めること。
  • 複座機に同乗する場合は、マスク着用とし、ベンチレーターを全開とする。
  • こまめに手洗い、手指の消毒を行うこと。
  • 操縦装置、椅子、無線機マイク等は定期的に消毒を行う。(消毒液を準備)
  • 接触確認アプリCOCOAのインストール

板倉滑空場 ビジター確認票(抜粋)

板倉滑空場での活動参加にあたっては、感染させない、感染しない、重症化させない、重症化しない、ために新型コロナワクチン接種を推奨いたします。

利用前2週間において該当するものに、□にチェックをしてください。下記事項に一つでもチェックのない方は来場をご遠慮頂くようお願いします。

□体温 37.0度以下であること
□発熱、咳、喉の痛み等の風邪の症状、だるさ、息苦しさ、嗅覚や味覚の異常、体が重い、疲れやすい等の症状がない。
□新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触がない。
□同居家族や同じ職場の人など身近な友人に感染が疑われる方がいない。
□過去2週間以内に政府からの入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航、または当該在住者との濃厚接触がない。ただし、政府の方針に従い、入国後の待機期間が短縮される場合は、期間については短縮された待機期間に従うこととする。
□過去2週間以内に新型コロナウイルス感染症陽性と判定されていない。

板倉滑空場ビジター確認票(PDFファイル)
ビジターの方は記入、印刷の上、お持ちください。


October 1, 2021

Resuming normal operation (2021/October)

Japan Glider Club

During the period of the new Corona State of Emergency, our club has been operating carefully under various infection control measures, limited to members and related parties. During that time, we apologize for the inconvenience caused by refraining from visiting the venue for non-members. Following the “total cancellation of the state of emergency, etc.” on September 30, we will be able to allow non-members to visit the venue, including experience boarding.

However, since there is still a risk of coronavirus infection, we request that all visitors, both members and non-members, take the following infection control measures.

In addition, when participating in activities at Itakura Airfield, we recommend new corona vaccination to prevent infection and aggravation.

続きを読む →